「確定申告するほど利益はないけど経費のことは気になる。」
「ハンドメイドの必要経費ってわかるようでわからからない。」
「あんまり売上げがないけど、帳簿とか付けた方がいいのかなぁ。」というあなたへ。
この記事ではハンドメイドの必要経費にはどんなものがあるのか、私の場合を例にして実際の仕訳け方を詳しくお伝えしていきます。
ちなみに、私は23年前からハンドメイド講師とハンドメイド販売の所得を雑所得で確定申告しています。
また、開業届は出していません。なので帳簿は正式なものではなくエクセル家計簿をハンドメイド仕様にカスタマイズして使っているのでそちらもご覧ください。
あなたの今ある領収書やレシートなどと照らしあわせながら見ていただけたら嬉しいです。
必要経費の仕訳に必要な書類
ハンドメイド販売に関わる買い物の証拠として、領収書やレシートが必要になります。
領収書・レシート
どこで、いつ、何を、いくらで買ったか書かれた領収書が必要です。もちろんレシートでも大丈夫です。
出金伝票
出金伝票は、光熱費(ハンドメイドで使った電気代)や電車賃などレシートがないときレシートの代わりになるもので、日付・要件・金額・支払先を自分で手書きします。出金伝票は100円ショップで買えます。
注文履歴から請求書をダウンロード
ネットでの買い物はレシートがないので、ショップからの注文受付メールを保存しておきましょう。またショップの注文履歴から請求書をダウンロードしてもOKです。
収入・支出(経費)の勘定科目を作ろう
勘定科目とは、お金がどから入ってどこに出ていったのかがわかるようにした見出しです。カテゴリーみたなものと思ってください。
こちらは私の実際の帳簿(エクセル家計簿)です。
収入は取引先ごとに分けます。例えば、minne、クリーマ、委託先、イベント、マルシェ、ワークショップなどです。
勘定科目はこれでなければならないという決まりはなく、ハンドメイドの取引内容がわかるように自由に設定できます。
私はひと月分をまとめて記帳していますが、都度売上げごと買い物ごと1件づつ日付けで記帳するスタイルでも大丈夫です。というか本来はそれが正式な帳簿の記帳のしかたなんですけどね。
では勘定科目ごとに説明していきますね。
収入
minne
私はminneで販売しているのでminneの勘定科目を作りました。
ここに記帳する収入の数字は、minneから自分の銀行(ゆうちょ)口座に振り込まれた金額ではなく、販売手数料や振込手数料が引かれる前の金額になります。
こちらは私のminneアプリの「売上・入金画面」です。
28,700円が収入です。
販売手数料 3,119円
振込手数料 220円
立替手数料 2,660円は、それぞれ経費です。
帳簿の記帳の日付は作品が売れた日(売れた月)になります。自分の口座に振り込まれた日ではないのと、振込みは売れた月の翌月の月末なので混乱しないように気をつけてくださいね。
※minneアプリの「売上・入金画面」は、自分の口座に売上入金の振込みが完了すると消えてしまって履歴が残りませんが、ブラウザ(safari、Google chrome、Microsoftedge)からログインすれば過去の入金履歴がすべてわかります。
またネット販売がメルカリやクリーマなど他にもあるなら、それぞれ収入の勘定科目を作りましょう。
イベント・マルシェ
イベントやマルシェは開催ごとに売上げを計算するわけですが、会期中はバタバタするので売上げの記録に工夫しましょう。
私は値札シールをノートに貼っておきます。また作品の搬入リストを作っておけば会期が終ってから在庫と照合できて正確な売上げが計算できますよ。
イベント出店が場合は主催者別の勘定科目を作りましょう。各会場の売上げの比較ができることも帳簿のメリットですね。
委託販売
委託先ごとに勘定科目を作りましょう。
この場合でも収入は売上から委託料引く前の金額を記帳して、委託料は経費として支出に記帳してくださいね。
講師料
自宅や会場を借りて教室を主宰していたり、手芸店やカルチャースクールで講師をしている場合は、会場別にそれぞれ勘定科目を作りましょう。
その他の収入
どの勘定科目にもあてはまらない収入があるかもしれないので一応作っておきます。例えばイレギュラーにもらった受注や、銀行(ゆうちょ)の微々たる利息とか。
支出(経費)
さあ、ここからがいよいよ必要経費の仕訳です。道のりは長いですが頑張って見ていきましょう。
また必要経費については、国税庁「帳簿の記帳のしかた」の29ページに一般的な必要経費の一覧表がありますのでそちらもあわせてご覧いただくと、いっそう理解が深まると思いますよ。
給料賃金
- 作品制作の下準備を友人に手伝ってもらった
- イベントで搬入や設営、売り子の依頼をした
- インスタ運営を友人にやってもらっている
- 発送の梱包を友人に手伝ってもらった
お手伝いの方の報酬を時給でお支払いすることはもちろん、お菓子やランチなどの現物支給も賃金になります。
インスタは運営の目的が作品販売や生徒募集のためだったら、それにかかわるものは経費です。投稿やリールの作成を依頼するなら賃金が発生し経費になります。
外注工賃
- 作品のパーツをサイズ・色など指定して外部に加工を依頼した
- 自分でデザインしたマスキングテープを製品化のため業者に発注した
外部業者に委託した場合の工賃の支払いは経費です。
材料や素材の「仕入れ」とは別になります。
荷造資材・運賃
- 作品発送用のダンボール・プチプチ・テープなどを購入した
- 遠方のハンドメイドイベント出店のため作品を宅急便で発送した
この勘定科目は私の場合は作品を発送するための梱包資材と宅急便料金に限定しています。
作品そのものをラッピングするOPP袋や台紙、包装紙は「消耗品費」にしています。
一例なのであなたが仕訳しやすい方法にして大丈夫ですよ。
水道光熱費
- 電気炉で作品を作っている
- 染物で水を大量に使う
私の場合は電気炉が作品制作に欠かせません。電気代は消費電力と使用時間で計算しています。
染物は水を大量に使いそうなので例にあげました。
旅費交通費
- 材料を買いにお店までバスで行った
- スキルアップセミナーに電車で行った
- 遠方のハンドメイドイベント出店に飛行機・タクシーで移動、会期中はホテルに宿泊した
作品制作・販売にかかわる交通費、ホテル代は経費です。
通信費
- 委託先開拓のため電話営業をした
- 集客のためにパソコンでブログ運営をしていてサーバー代がかかっている
販売のための営業の通話なので経費です。
私はこのブログ運営のためにサーバーを契約しているのでサーバー代は経費です。
他にはWi-Fi代やスマホの通信料がありますが、これらはプライベートとハンドメイド業務を分けなければならなくて、例えばハンドメイド業務でスマホを操作したり調べものをしている間の時間を測るなどして、比率を割り出だせるなら経費にできます。
広告宣伝費
- ショップカードを業者に発注した
- インスタ、minneに広告を出した
ショップカードは宣伝目的のアイテムです。外部発注すると広告宣伝費ですが、100円ショップの紙を使って自宅で印刷したなら、紙とインクは「消耗品費」です。
修繕費
- 電気炉をメンテナンスした
- パソコン、スマホを修理に出した
作品制作や業務のためだけに使っている機器の修理代は経費です。
パソコンやスマホはほとんどの場合プライベートにも使っていますから、全額ではなくハンドメイド業務の使用比率の部分だけが経費になります。
ライセンス費
- ○○協会の年会費を支払った
私は作品制作に直接関係している資格を取得していて年会費が必要なのでこの勘定科目を作りました。
セキュリティ対策費
- セキュリティソフトをパソコンにインストールした
もしウイルスでパソコンに被害があったら業務が滞るので不可欠な出費です。
サブスクリプション
・インスタとブログ投稿のためCanvaの有料会員になった
CanvaはSNS投稿やショップカード、チラシなどの作成をテンプレートから簡単に作れます。無料でも使えるのですが有料会員は素材の使用が無制限でAI機能も使えるのでここは課金しました。ちなみに料金は月払いより年払いのほうが割引きがあってお得です。
支払手数料
- minneの売上げが銀行(ゆうちょ)に振り込まれるときの振込手数料
- 材料発注時の取引先から請求される事務手数料
商品やサービスに付随して発生する手数料が支払手数料です。
他には代引き手数料、各種証明書の発行手数料、登録手数料などがあたります。
販売手数料・立替手数料
- minneの売り上げから引かれる販売手数料
- minneでミンネコパックを利用した分の立替手数料
- 作品を委託して売れた場合の販売手数料
minneから自分の銀行(ゆうちょ)口座に振り込まれた金額は、すでに各手数料が引かれているので、この入金された金額を収入の勘定科目に記帳して更に各手数料を支払いに記帳すると二重の記帳になってしまうので気をつけましょう。
委託販売の委託料については、委託料の勘定科目をつくってもいいかもしれませんね。
図書・研修費
- 作品制作に必要な書籍を購入した
- スキルアップセミナーにzoomで参加した
作品制作の資料だったり、スキルアップ関連の受講料は経費です。
消耗品費
- アイデアを書き留めるためのノート、ペン、マーカーを購入した
- ラッピング用の包装紙とリボンを購入した
- プリンターのカートリッジインクを購入した
- サンキューカード用の紙を購入した
- 委託先への納品に車で行った
- 対面販売用にショップバッグを購入した
- ディスプレイの什器、備品を購入した
- ペンチとニッパーを購入した
- ミシン、UVライト、パソコン、モニターを購入した
文房具、紙類、道具、工具などはすべて消耗品費です。
車を使った場合のガソリン代も消耗品費です。走行距離とガソリンの単価で計算しましょう。
什器や機器などの物品は10万円以下ならば「消耗品費」になります。
出店料
- ハンドメイドのイベントに出店が決まったので出店料を振り込んだ
- 委託販売先に出店料を支払った
出店料はハンドメイドならではの勘定科目ですね。
帳簿へ記帳の日付は振り込んだ日(支払った日)になります。
雑費
- 委託先に車で搬入して駐車場代がかかった
勘定科目のどこにもあてはまらない場合は「雑費」に入れますが、あまりに雑費が多くなったら関連づけして新しい勘定科目を作りましょう。
仕入れ
材料や素材などの購入は「仕入れ」になります。
「外注工賃」と混同しないように気をつけましょう。
「減価償却費」
10万円以上の物品(たとえばiPhone、パソコン、3Dプリンター、電気炉)を購入した場合、そのとき一度で計上せず、何年にもわたり少しずつ資産価値を減少させていくのが減価償却です。計算方法が複雑らしいので、個人事業主になり開業届を出すことになったら税務署で教えてもらうのがいいと思います。
「地代家賃」
自宅が賃貸で部屋の一部を作業場に使っている場合は、作業場の面積を割り出した金額を家賃として経費にできます。
帳簿に記帳してみよう
せっかく経費を勘定科目に仕訳けしたので、帳簿に記帳してみませんか?
帳簿といっても正式なものではなく、普通のノートやおこずかい帳、パソコンのエクセル家計簿テンプレート、スマホの家計簿アプリなど、あなたが記帳しやすい方法がいいと思います。
私はパソコンでエクセル家計簿の無料テンプレートをダウンロードして使っています。この記事の最初で紹介したやつです。
Excelを開いて、「家計簿」で検索(Windows10)
こちらを帳簿として使っています。
スマホが得意でしたら無料の家計簿アプリなど試してみるといいかもしれません。
アナログ派でしたらお気に入りのキャラクターのノートだとテンションが上がりそうですね。
私の場合は収入も支出もそれほど件数は多くはないので、月でまとめて記帳しています、マメなあなたは日付けごとに記帳してみてはいかがでしょうか。
もしいずれ開業届を出して個人事業主になるとしたら正式な帳簿が義務付けされるので、今からマメに記帳して慣れておくのもありかもしれませんね。
記帳で注意すること
年末になってなにげに帳簿を見た時、「違和感がある」「なんかつじつまが合わない」みたいなことに実際になったことがあります。結局レシートやら通帳、カードの履歴を突き合わせることとなって大変でした。
記帳で注意する具体例は、
- 経費の仕訳けは「ラッピング包装紙は消耗品費」「駐車場代は雑費」など、一度仕訳け内容を決めたら1年間はそれを通します。不都合がでたら翌年に仕訳けを変更しましょう。
- クレジットの支払いは引き落しが翌月だったりしますが、帳簿に記帳する日付は引き落しの日ではなく購入した日です。
- ネット販売の売上げの日付は銀行(ゆうちょ)口座に振り込みされた日ではなく、作品が売れた日(売れた月)です。
棚卸
棚卸とは、商品や製品、部品などの在庫数を調べることで、同時に在庫表を作って管理します。
ハンドメイドでいうと、作品、材料、素材、パーツ・金具、未使用の消耗品・梱包資材などになります。
1年間の所得計算は 【売上げー必要経費】ですが、実はそれだけでは不完全で、
正しい1年間の所得計算は
【売上げー必要経費】+棚卸額です。
売れずに在庫になった作品、使わなかった材料などは財産なのです。なので12月31日現在の在庫の合計額を計算します。
材料などは仕入れた時の金額でそれぞれ数えて計算します。
個体なら数えやすいですが、布の場合は例えば50センチか1メートル単位を棚卸の対象にして、それ以下の端数は棚卸に入れないとか、50個入り、100個入りのパーツ類だったら未開封のものは棚卸の対象、封を切ったものは棚卸に入れないなどでよいと思います。
在庫作品の棚卸は販売価格ではなく原価で計算します。
とはいっても作品の在庫数を原価で計算するのは凄く大変です。なので作品の原価は販売価格の一律○○%ということにしてもよいと思います。私の場合は30%にして計算しています。
また、ずーっと何年も残っている作品はアイテムもバラバラでチェックしにくいので、私は棚卸には入れていません。
まとめ
いかがだったでしょうか。ここまで読んでくださってお疲れさまでした。
私の勘定科目はあなたのハンドメイドに当てはまりましたか?
あなたにはあなたの勘定科目があるかもしれないので、自由に設定してみてくださいね。
そして確定申告をする必要が有る無しにかかわらず、ハンドメイドのお金の動きは気にしてほしいと思っています。
それはお金の動きをコントロールできることが、ハンドメイド活動を長く続けていくひとつの方法だと思うからです。
なのでぜひハンドメイドの必要経費を仕分けして、帳簿に記帳していってくださいね。