ハンドメイド販売で活動をしていると、「開業届」について気になりませんか?
主婦で扶養内の私がはじめてハンドメイドで所得(講師料)を得たのは24年前。その年から開業届は出さずに毎年確定申告(白色申告)しています。
というと、「開業届は出さなくていいのね。」と思われるかもしれませんが、それはちょっと違っていて、確定申告が開業届の代わりになっていたのです。
恥ずかしながらそのことを知ったのはつい最近でした。
毎年確定申告してきたのも、ハンドメイドの講師料から引かれている源泉徴収税を返してもらうためで、それが同時に開業届になっていたなんて...。
なので開業届については私の中では解決しました。
では、あなたの場合は?
この記事では、あなたの「開業届どうする問題」に答えが出るよう深掘りしていきたいと思います。
開業届を出したほうがいい人
次のいずれかに当てはまるなら、開業届を出すことをオススメします。
- ハンドメイドが本業で、1年間の所得が48万円以上
- ハンドメイドが副業で、1年間で所得が20万円以上。今後もハンドメイドをガッツリやりたい
- 事業として信用がほしい
- 本気で取り組むためにけじめをつけたい
- 子どもを保育園に入れたい
ハンドメイドが本業で、1年間の所得が48万円以上
ハンドメイドが本業で1年間の所得が48万円以上ある場合、確定申告は必須です。
確定申告をするなら出来るだけ節税したいですよね。
節税には青色申告です。
開業届と青色申告承認申請書を出すと様々なメリットが受けられます。(メリットについては後ほど説明しますね。)
ハンドメイドが副業で、1年間の所得が20万円以上
会社員やアルバイト、パートなどで給与所得がある他に、副業のハンドメイドの所得が20万円以上ある場合、確定申告は必須です。
先ほどと同じく、開業届と青色申告承認申請書を出すと様々なメリットが受けられます。
ただ、確定申告をすると副業をしていることが会社にバレます。
なので会社に副業を知られてもよくて、本業と同じくハンドメイドもガッツリ頑張りたい方は、開業届を出してメリットを受けましょう。
事業として信用がほしい
開業届を出すことで、「個人事業」として世間的にも認知されます。
信用を得られるので、屋号で銀行口座をつくれます。
本気で取り組むためにけじめをつけたい
開業届を出すと自分の中で身が引き締まり、けじめがつくのではないでしょうか。
覚悟を決めてスタートしたいなら、開業日のあとすぐに開業届を出しましょう。
子どもを保育園に入れたい
ハンドメイドの売上げが0円でももちろん開業届は出せます。
小さな子を見ながらハンドメイド販売をはじめるのは厳しいものがあります。
子どもを保育園に入れたい場合は、就労証明書が必要になると思いますが、フリーランスのハンドメイド作家は、就労証明書を自筆で用意します。そして開業届の写し、確定申告書の控えがあると保育園の利用も可能と思います。ただし自治体によって条件に違いがあるので、市町村の役所に問い合わせしてみてくださいね。
開業届をすぐに出さなくてもいい人、出さないほうがいい人
次のいずれかに当てはまるなら、開業届はすぐに出さなくてよかったり、また出さないほうがいい場合もあります。
- 売上げがあまりない
- 源泉徴収税の還付申告をしている
- 扶養から外れたくない
- 会社やパートを辞めるかもしれない
売上げがあまりない
ハンドメイドの売上げが0円でも開業届は出せますが、そうはいってもちょっと考えちゃうかもしれませんね。
なので自分なりに継続していけそうと思ったタイミングで開業届を出すことでも問題ないと思います。
源泉徴収税の還付申告をしている
一時的なアルバイトなどで報酬を得ると、すでに暫定的に所得税(源泉徴収税)が引かれていて、年間で計算し直すと税金を納め過ぎていることがあります。その場合は確定申告をすることによって納め過ぎた税金を返してもらうことができます。これを還付申告といって、確定申告期間とは関係なく翌年1月1日から5年間提出することができます。
この還付申告をするには同時に確定申告も行うので(還付申告と確定申告は用紙が一緒)、先ほどもいったように開業届の代わりになり、あえて開業届を出す必要がないわけです。
扶養から外れたくない
開業届を出して個人事業主になっても扶養に入れます。が、ハンドメイドの1年間の所得が48万円以上ある場合は夫や親の扶養控除が無くなり、130万円以上になれば社会保険の扶養からも外れます。
また自分が扶養から外れるだけではなく、扶養している夫や親にかかる税金も上がってしまいす。
健康保険については「個人事業主は収入に関係なく扶養対象外」と定めている保険組合もあります。
なので絶対に扶養から外れたくない場合は、ハンドメイドの所得を48万円以下に抑えることと、健康保険については保険組合の個人事業主に関する規定を確認してから開業届を出しましょう。
会社やパートを辞めるかもしれない
会社やパートを辞めると失業給付が受給できますが、受給するためには失業中で求職活動をしている事実が必要になります。
開業届を出すことによって「個人事業主は失業状態ではないですよね。」と見なされ受給できなくなります。たとえハンドメイド所得が0円でもです。
なので会社やパートを辞める予定があるなら、開業届を出すタイミングに気を付けるのがいいと思います。
開業届を出すメリット
開業届は通常開業してから1ヶ月以内に提出することになっていますが、出さないからといって罰則とかは無いので、のちのち落ち着いてからとか、確定申告が必要な売り上げになってからの届け出でも大丈夫です。
そして開業届を出すことでメリットがあります。
青色申告で節税できる
確定申告の方法は「白色申告」と、「青色申告」に分かれています。
「白色申告」はどんな帳簿でも大丈夫ですが、「青色申告」は書式が決まっていて記帳が複雑らしいです。
青色申告の記帳が複雑なのには理由があって、それは節税できる特典が3つあるからです。
① 最高65万円の控除
② 家族に支払う給与を必要経費にできる
③ 赤字を最長3年繰り越しできる
今はクラウドサービスや無料の申告ソフトもたくさんあって、パソコンやスマホで家計簿感覚で青色申告用の帳簿が作れるみたいです。
人気のクラウドサービスは以下の3つです。
- freee会計
- マネーフォワード クラウド会計
- やよいの青色申告オンライン
それぞれ無料版と有料版があります。
屋号で銀行口座がつくれる
開業届を出したあとに屋号で銀行口座を開くことが可能です。(手続きやルールは金融機関によって異なります。)
屋号の銀行口座って、単純にカッコイイですよね。
でもカッコイイは置いておいて、「事業用」の銀行口座でハンドメイドの経費を管理するのは大事なことです。
なので個人名義でもハンドメイド専用の銀行口座を開くことをオススメします。
法人用のクレジットカードを持てる
開業届を出したその時点でカード会社に法人用のクレジットカードを申し込むことができます。
銀行口座と同じくクレジットカードもハンドメイド専用があれば経費の管理に便利です。
開業届の出し方
では、もし開業届を出すとなったらどのような手続きがあるのかみていきましょう。
個人事業の開業届出・廃業届出等手続
開業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」が正式名称です。
開業届の手続きにかかる費用はありません。また開業届を提出した際には、必ず「開業届の控え」を保管しましょう。
作成・提出方法
- パソコンからe-Taxソフトで届出書を作成して、e-Taxで提出する方法
e-Taxがはじめての方は利用者識別番号を取得する必要があります。
またスマホでマイナンバーカードの読み取りが必要です。
- 書面で届出書を作成、持参又は送付して提出する方法
「個人事業の開業・廃業等届出書」PDFをダウンロードして記入。
本人確認書類が必要で、持参の場合は提示、送付の場合はコピーを添付します。
記入のポイント
- 職業欄
職業欄にはそのまま「ハンドメイド作家」でもいいですし、「小売業」(一般消費者に直接商品を販売)、「卸売業」(小売業者や事業者に商品を販売)でも大丈夫です。
- 事業の概要欄
どんなものを制作してどのように販売しているかなど、具体的に内容を分かりやすく記入しましょう。
- 屋号
屋号がない場合は空欄で大丈夫です。
- 開業日
開業日は自由に設定できます。(開業日から1ヵ月以内に開業届を提出するのが一応のルールです。)
開業届以外の書類
- 青色申告承認申請書
青色申告の承認を受ける場合に必要な書類です。承認を受けたい年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業した場合には、開業の日から2ヵ月以内)に提出します。
- 青色事業専従者給与に関する届出書
青色事業専従者給与額を必要経費にしたい場合に必要な書類です。何年か先に新たに青色事業専従者が加わったり給与額を変更したときも提出が必要で、期限は先ほどの青色申告承認申請書と同じです。
このほかにもさまざまな書類があるようですが、ハンドメイド作家としては「個人事業の開業届出・廃業等届出書」のみの提出でとりあえずはスタートできます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
あなたの「開業届どうする問題」は解決しましたか?
開業届は売上げがなくても出せます。
開業届と確定申告は関係がないので、確定申告が必要な所得になったら確定申告しましょう。
開業届を出さなくても罰則はありませんが、確定申告が必要なのに確定申告をしないと罰則がありますので、簡単でいいので帳簿をつけて管理してくださいね。