ハンドメイドの委託販売をやってみたいと思いますか?
委託先の探し方はinstagramで検索すると募集しているショップを見つけることができますが、私の場合は委託募集のメールをもらったのがはじまりでした。
この記事では私が委託販売をやりたかった理由や、委託料や販売手数料などのお金のこと、気づきやその後の販売の影響について書いています。
書き出すと当時はテンションが高めだったことを思い出しちょっとお恥ずかしいですが、これから委託販売をしてみたいあなたの参考になれば嬉しいです。
この記事の目次
委託販売募集のお知らせに心躍る
私の場合の委託販売のきっかけは、コロナ禍の2021年の春、委託販売募集のメールからでした。
そのメールは毎年出店していたハンドメイドイベントの事務局からで、1年間の限定で委託販売ショップを札幌駅隣接の札幌ステラプレイス1階にオープンするというものでした。
このショップオープンのお知らせに心が躍りました!
できることなら私も出店したい!
札幌ステラプレイスは札幌で一番にぎわう商業ビル。
ショップはその1階で札幌駅側からも入れて、スルッと立ち寄れる場所なんです。
しかも店舗は全面ガラス張り。すぐそばにあるエスカレーターからも店内が見えます。
キラキラの照明とオシャレな空間は行きかう人たちの目に入らないわけがないんです。
「なんのお店?」「素敵なものありそう」
何が置いてあるのか確かめたくなる心理に駆られ、きっとたくさんの人が立ち寄ってくれます。
コロナ禍で人の往来が通常通りではないということを踏まえても魅力的です。
キラキラの素敵なショップはハンドメイドのエンタメです!
もしここに自分の作品が並んだらどんなに素晴らしいことでしょう。
もう妄想がとまりません!
委託販売は儲かる?
いきなりだけど、ぶっちゃけ儲かるの?
委託販売は他のハンドメイドの販売方法とくらべて、かかる経費(委託料や販売手数料)が大きいです。
なので作家が儲かるかどうかといえば微妙です。
作品の単価や販売個数にもよりますけどね。
驚愕の出店要項
では、大事な出店募集要項を見ていきましょう。
- 委託期間は出店者入れ替わりで、15日間または1か月間を1年で4回出店(年の途中で契約解除可)
- 納品は200点以上か、販売価格合計30万円以上のいずれか
- 委託料は15日間42,000円(1日2,800円)、1か月間75,000円(1日2,500円)、それぞれそで半額を前納のこと
- 販売手数料30%
- ショップ内での作品の陳列場所や方法は店舗に一任
- 出店者は審査で決定
なるほど。さすが街の中心部の委託料相場はこんなに高額なのね...。
それにしても作品200点か総額30万円って凄すぎる。
応募の壁
作品200点もつくれる?
それまでの私の作品は1点もののペイント作品が中心で、1作品の制作に1週間以上はかかっていたので、ペイント作品で200点は絶対にムリです。
でもそのころペイントとは別にガラス作品にも取り組んでいたところで、ガラスだったらどうだろう? と考えました。
ガラス作品は一回の焼成で十数個つくることができるので、効率よく作業をして焼成していけば出来るかも。
たとえば10アイテムを20個づつつくれば200個はいける!
それに委託販売が終ったらminneで販売していけばいいよね!
委託料は払える?
委託期間は15日間と1か月間があって、1か月間だと中間で追加納品しなければならなく、自分の制作のキャパ的に15日間が妥当です。
なので委託料は42,000円。その内2万円を前納しなければなりません。
要項には前納した残りの支払いは売上からで、もし売上がそこまで無く支払えなかった場合でも請求は無いとありました。
売上で支払えないということは、自分に入るお金もないということです。
売上から手数料30%を引いた金額が42,000円を超えたところからがやっと儲けになるわけで、材料費の回収もできないかも。
「そんな状況で大丈夫なの?」
本当にキツくてやっていけなくなった場合は、途中で契約解除ができるとのことですが、
「それも悔しいかもしれない~。」
なかなか厳しい条件なのに、あきらめられなくて葛藤はつづくのでした。
出店に応募
儲けが厳しいのに応募したんだね。
だって二度とないかもしれないじゃない!
そうして考えに考えた末に15日間の出店枠に応募しました!
はたしてこれは二度とないチャンスなのか、地獄のはじまりなのか。
もしこの1年間をやり遂げたら、ハンドメイド作家としてひと回り大きくなれる気がしたんですよね。
自分でも思いきったなぁと思いますが、やっぱり出店したい気持ちが強かったです。
どうか審査に合格しますように...。
怒涛の作品制作
で、合格したんだね。
そうなの!夢が現実になったよ!
審査に合格した喜びもつかの間、納品まで2か月しかありません。
これからが怒涛の作品制作のはじまり。計画を立てました。
- リニューアルと新作を合わせて10アイテムのデザイン決め
- 200個分の材料の発注
- 制作工程の細かいスケジュールづくり
- 納品発送までの段取り
コロナ禍なので納品は宅急便を使うことにしました。
その分制作日数が減ったので、スケジュール通り進まなければ200個達成はできない状況でした。
短期間にこれだけ制作したことは過去にはなく、その時の頑張った自分を褒めてあげたいです。
- 完成作品に値札シールを貼る
- 規定のエクセル納品書に数量と作品のアピール文を入力、事務局に送信
この作業もなかなか地味に時間がかかりました。
そしてしっかり梱包して発送、期日に無事納品完了です。
オープン
売り切れ作品の追加納品
納品した作品はショップのスタッフさんが納品書と照合して陳列してくださいます。
不明な点があれば連絡がきますがそれも無く、無事にオープンしたようで自宅で静かにお祝いしました。
コロナ禍でなければオープンの日にショップへ行ったんですけどね。
納品してしまえば暫くはゆっくりできるところが委託販売のいいところです。
そんなこんなでそれから1週間たったころ、ショップからメールが!
なんと売り切れた作品があるため追加で納品できますか?とのことです。
すごいね!売れたね!
思いもよらなかったからびっくりだったよ~
1週間で20人の人たちが気に入って買ってくださったなんて、夢のようです!(1つのアイテムを20個づつ納品したので)
追加納品は材料が少ししか残ってなくて数点だけ発送しました。たった数点の納品に送料かけるって、あとから思えばどうなのって? って感じなんですけどね。
とはいえ、この作品は救世主かも。なので次回はたくさんつくろうと決めました。
ところでこの売り切れた作品は何だと思いますか?
それは「目玉焼きの箸置き」です。(その時の売り場の様子)
2回目からの納品はどうする?
1回ごとの出店が終わるとショップから売上報告が送られてきます。
1回目の売上は委託料に若干満たなかったのでマイナスでした。
マイナスはそれなりにショックでしたよ。
でも人気作品を強化すれば1年間乗り切れると考え、材料を思いきって1年分発注しました!
売り切れた「目玉焼きの箸置き」は倍の数つくります。
他にも売れ行きのよい作品を追加して、あとは季節ものの新作を制作することにしました。
新作は売れ行きのよかった作品のテイストに寄せたデザインで考えることにして、ひとつも売れなかった作品もあったのでそれは少しだけ値下げすることにしました。
次の納品は3か月後です。
在庫をショップに留置きしてもらい、合計200個以上になるように新作、追加作品を制作して、2回目以降の納品は持参しました。留置き、持参で送料節約です。
最終売上は?
2回目以降も「目玉焼きの箸置き」はよく売れ量産した甲斐がありました。
他の作品たちも健闘しました。
おかげで最終的に大きな赤字にはなりませんでした。
これで1年間の委託販売は終わり、無事にやり遂げることができて満足です。そして燃え尽きました。
委託販売してよかったこと
minneショップが充実した
この委託販売で売れ残った作品は次の販売ステージ「minne」でデビューです。
おかげで華やかで充実したショップになってきました。
中でも今回活躍してくれた「目玉焼きとな生たまごの箸置き」はありがたいことにminneでも人気で、販売開始から再販を重ね、今は常に在庫がある状態にしています。
シリーズ化も徐々に進めています。
効率化に取り組めた
1回目の納品200個は本当にキツかったです。
材料を適当に使っていたのでは取れ高が悪くなって利益率にも影響します。
材料にムダが出ないデザインと製図、量産できる作業の効率化に頭を使って疲れました。
でもおかげで今材料が高騰しても、デザインも販売価格も同じままに、原価を下げる手段を見つけることができています。
どんな時でも頭は使っていかないとですね。
経費節減の意識が高まった
今回の委託販売はかかる経費の委託料が大きかったので、経費削減を真剣に考えました。
節約できるところは送料と交通費です。というかそこしかありません。
- 材料の発注を1回にまとめて発着送料を節約
- 2回目以降の納品は宅急便をやめて車で持参
- 残った作品は毎回引き取りには行かずショップに留め置きをお願いした
- ショップ閉店後の引き取りも車で行って受取
- ショップへ自分の作品を見に行くのは1回のみ
あたりまえなんですが、納品でショップに行っても自分の作品が陳列されているところは見れないので、あらためて行かなければならないです。
交通費節約のためとはいえ、あこがれのショップに並んだ作品たちを1回しか見に行かないなんてどうなの? と思われるかもしれませんね。
でもコロナ禍で感染のリスクもありましたし、そこは割り切るしかなかったです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
夢見たあこがれの場所に素敵に陳列された作品たち。
それはそれは華々しい光景でした。
華やかなショップはお客様の購買意欲を刺激するということを、ショップのスタッフさんの陳列技に学びました。
なん十件もある出店にそれぞれ手をかけてくださって感謝です。
儲けはほぼなかったですが、出店して本当によかったと思っています。
自分の理想とかかるお金に折り合いをつけることは悩ましく、その先に何があるのか見極めることは難しいです。
「後悔先に立たず」勇気と行動力であなたはあなたの理想を叶えてくださいね。